2024-01-01から1年間の記事一覧
*琴線に触れた出来事たちをことばにしようとすると、魚を取り逃すように、きまって熱を帯びていたものがすばやく去っていくから、必死に、その残り香をかき集めているような感覚ばかりが残る。いつまでもほんとうに書きたかったことは書けないままなのかもし…
思えば11月。気づいても気づかなくても飛ぶように日は流れるので、改めて手帳を見返すとギョっとする。日ごと濃さを増す朝晩の冷気に、衣服でもって調整を試みる。澄み渡った薄い空から、鋭く差し込んでじめんに散らばる光のまばゆさを見て、環境は変われど…
10代の中頃、自転車に乗りながらあまりにも同じ濃度で拡がる夜空にとてつもない恐怖を覚えた。それなのに年月が経つにつれそんな恐怖心もしぼんで、すっかり当たり前の光景と化してしまった。ふとクレヨンにつけられた個別ごとの名前が思い浮かぶ。色にも名…
「梅雨」の表記を見るたび、ごくごく当たり前に「つゆ」って2文字を頭から引っ張り出して口にしまうのがほんとうに不思議。あなたは「ばいう」の顔なのでは...とこれはおそらく要らぬおせっかい。空気は湿度を増して、「ベタベタ」とか「ムシムシ」の乱用で…
『1月は行く、2月は逃げる、3月は去る。』なんて言葉があるけれど、カレンダーの数字を見やれば時間がこんなにも経っていたのかという事実に直面して、「あっという間ですね」なんて人類共通語で会話しようとする。季節はすっかり春、記憶から遠のいてしまっ…
心が重たいとき、はたまた小躍りしたくなるとき、音楽を聞いていると、心境がどんな形であれ、沿うように包みこまれるような感覚がある。音楽のちからは、目に見えないちからだけど、やはり人間にとって欠かせないものなのだと再認識する。 遡ること一週間前…
特段ふだんと変わりない日を繰り返しまたいでいたら、年が明けていた。紅白も時間を割いて見ようという気も起こらず家族と過ごした後は自室にこもって静かにインターネットの中をぐるぐるしていた。0時をすぎれば「HAPPY NEW YEAR」の文字とともに一斉に昨…
人と人とが体を介して行うやりとりの一つに「抱擁」がある。わたしにはこの「抱擁」が、人類が執り行う、最も美しい行為に見えている。時間を遡れるようになったら、この行為に「抱擁」と漢字を当てた人と抱擁を交わしたい。 きっかけは、とある映画…
2023年夏、近所のキャンプ場で知り合いの家族と川に入った。お子さんは小学2、3年生の女の子。持ち寄った野菜や肉を焼いて食べたり、ハンモックで横になったり、川で遊んだりするうちに段々と打ち解けていき、帰り際にはあだ名を命名されるま…
太陽が沈んだあと、ひとは何をして過ごしているのだろう。指先を袖にしまい込んだままスーパーの品物を吟味するあのひとは、一体どこからやってきてどこに消え、誰と何を食べるんだろう。街中を笑い飛ばしながら闊歩するあのひとひ…